サイバーセキュリティや人工知能(機械学習等)を中心に、最新技術を研究しています。
エンジニアで技術書の著者でもある柳井政和氏によるハッカー小説。
有能なプログラマーが身に覚えのない汚名を着せられて裏社会に転落していく姿が、とても丁寧な文体と構成でリアルに描かれていて好感が持てる作品です。
暗黒面に堕ちたプログラマーどおしの頭脳戦という構図なんですが、いろいろな局面で自分ならどうするかを考えながら読むのがとても楽しかったです。
また、プログラマーの生態がステレオタイプに描かれていますが、私は少し異なる印象を持っています。
本作で書かれているプログラマーの生態はいわゆる従来のシステム系プログラマーで、昨今プログラマーよりもエンジニアと称されることが多い Web 系プログラマーはここまでではない印象です。
ただ、ここで描かれているプログラマーは優秀ではあるのですが、どこまで行ってもプログラマーの域を脱せておらず、ハッカーと呼ぶには詰めが甘くてお粗末で、それ故に正攻法で陥落させられてしまいます。
そう考えると、プログラマーとハッカーは素人目には同じように見えても、その根っこの部分は全く異なる生態系の生き物なんだなという思いを強くした読後感でした。
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